Cut_097.gif (10341 バイト)  DVD Cut_097.gif (10341 バイト)


 

「思春期の心とからだ」新編集シリーズ

1巻 男女交際と責任

◆性教育 ◆中学校以上用 ◆15分

初めてのキスの動機、性行動の動機や男女交際に対する考え方の男女差を、アンケートをもとに考察。中学生・高校生の意見も交え、「人権としての性」を尊重できる男女交際を目指す。そして、望まない妊娠・人工妊娠中絶をテーマに、責任ある男女交際とは何かを考える。

制作者・北沢杏子より 

 本作品は、心身共に性的成長期のまっただ中にある中学生・高校生の性的好奇心や性衝動、恋愛感情について、男女間の意識の大きな乖離を知ることで、周囲に溢れる性情報に流されることなく、性行動の自己決定のできる人間に成長してほしいという意図から制作された。
 例えば「初めてのキスの動機」に、女子の18%もが“相手に迫られて”と答えているのはなぜか? また、「初めての性行動の動機」に、男子の43%もが“性欲から”と回答しているのはなぜか? それは、性教育が人権教育であり、「相手の性を侵害することは、相手の人権を侵害すること」であることを学んでいないからではないのか。本作品の統計グラフや中学生・高校生たちのナマの声をもとに大いに討議してほしい。

 本作品の後半は、望まない妊娠に悩む高校生男女の恋愛の実話をもとに、産婦人科医院での検診風景、相談員が説明する世界保健機関(WHO)の妊娠週数の数え方、日本の母体保護法を、わかりやすい図表で示した。中学生、高校生には、ぜひ熟知してほしい内容である。本作品に登場する女子高生は、「人工妊娠中絶」を自己決定する。そして4年後、短大を卒業。保育士の資格を取得して、自立の第一歩を踏み出すのである。

 


1巻 男女交際と責任  採録シナリオ

ナレーション(以下N) このビデオの前半は、10代のみなさんの「初めてのキスの動機」、「性行動の動機」、そして「20歳未満の人工妊娠中絶の実数」を示し、それぞれの背景に、中学生・高校生の討論と意見の一部を挿入。
 後半は、こうした性行動の結果、望まない妊娠 ―― 産み育てるか、中絶するかと迷う実話をもとにした構成となっています。

■初めてのキスの動機
 では、まず「初めてのキスの動機」から――あなたの場合は、どれにあたりますか?
 「性的に興奮して」「愛していたから」「せまられて」「好奇心で」「好きだったから」「なんとなく」となっています。みんなの場合は、どれに該当するかな?

 これをグラフにすると、こうなっています。このグラフで問題なのは、男子の動機に「性的に興奮して」が21%、「好奇心で」が25%もあること。
 これに対して、男子の意見は――(以下は、授業での討論から抜粋して収録したものです)

男子 男子は興奮すると何をするかわからなくて、あとのことは考えずに「やることはやってしまえばいい」という感じが多いと思います。

N こんどは女子の問題点。女子は「迫られてキスをしてしまった」が19%もあります。どう思いますか?
  女子の意見は――

女子 男子のことが本当に好きだったら、やっぱり、その人の思ったとおりにしてあげたほうがいいのかな、という思いになって。だから、自分の思っている気持ちよりも、相手の気持ちを優先にしちゃうところがあるから……。

N 愛しているなら「自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先してしまう」というのは、ちょっと問題だと、思いませんか?
 討論の結果、女子は、イヤなら「イヤ!」と、はっきり意思表示をする。それを受けて、男子は「考えなおす」と答えました。
 そう、お互いに相手の意思、そして「人権としての性」を尊重することが大切ですね。

■性行動の動機
 次に、「性行動の動機」は――男子の場合は、「性欲から」が43%。「好奇心で」が18%。「愛していたから」は13%。
 これに比べて女子の方は、「愛していたから」が50%、「好奇心で」が12%、「性欲から」は7%と、大きく差が出ています。これをグラフにすると、こうなっていますが、あなたはどう思いますか?

 この差について、高校生女子の意見は――

女子 女子の考えている「男女交際像」と、男子の考えている「男女交際像」は、ずいぶん違うと思のね。女の子は、手をつなぐだけでとか、キスするだけでいいとか考えてるんだけど、男の子は、そうは考えてないと思うから……。
男子A 男子のほうはさ、触りたいとか……、
男子B からだを求めたいんだろ?
男子A そう、そう、そう……。
 
N 男子は、女子の体にさわりたい、体を求めたいという性衝動から、行動してしまった。一方、女子の方は、好きだったら、相手の思うとおりにしてあげたいと、受け入れてしまい……その結果、

■20歳未満の人工妊娠中絶件数
 1年間の20歳未満の人工妊娠中絶件数は、総数の約10分の1にあたる、21,535件となっています。

(平成21年度/厚生労働省)

 もしも、こうした望まない妊娠という現実に遭遇したら、どうしますか?高校生の男子と女子はそれぞれ……

男子 高校生ですから、子どもを育てていくことって、ホントにできないと思うんです。ホントに、ダメですよね。
女子 産むんだったら、絶対、自分が自立して、相手と対等に作っていける家庭を持つときに産みたいから、この状態(高校生)だったら、私は中絶すると思います。

N あなたなら、どうしますか?クラスでよく話しあってみましょう。
(ここで映写を止めて、生徒間で討論するといいと思います。後半は、討論が終ってから見るといいでしょう)


N これは、実際にあった、ある高校生の「男女交際と責任」についての物語りです。

 

西島ゆき16歳、高校2年生です。彼も高校の2年生。2人の交際は、もう2年近く続いています。
 けれど今日、彼女は彼に、重大なことを話そうとしています。もう何週間も月経が遅れているのです。「まさか……どうしよう……誰に相談したらいいのか?」
 2人は、「10代のための相談室」も開かれているという産婦人科医院を訪ねました。病院の待合室は、おなかの大きい女性や、赤ちゃんを連れた人で一杯でした。
 「お願い……何かの間違いでありますように……」

(うなだれて座っている2人に、看護師が声をかける)
看護師 西島さん、どうぞ、こちらで診察です。

■診察室で
長池博子先生 4月17日が最後と書いてあるけれども、4月までは、ずっと順調だったわけね?
ゆき はい。
先生 16歳というと、高校2年生?
ゆき はい。
先生 相手の方はいくつ?
ゆき 同い年です。
先生 16歳。同級生?
ゆき そうです。
先生 誰かに相談しましたか?
ゆき いいえ。
先生 まだ相談してない?お母さんには?
ゆき 言っていません……。
先生 はい。では診察しましょうね。

 (診察台に上がるゆき)女の先生を選んでよかった。優しそうな先生……。
 でも、こわい! 何をされるのか?
先生 じゃあね、脚を外に倒して……楽に呼吸しててね。いいですか。痛いところはない?ここもなんともない?
ゆき はい。
先生 触ってるのわかる?
ゆき はい。
先生 これ、子宮よ。

再び診察室で――妊娠と告げられる
先生 あなたが心配してきたように、妊娠なのよ。どうします?言わないわけにいかないわね?お母さんに、言えない?
ゆき はい……。
先生 彼とつきあってることは、知ってるの、お母さん?
ゆき 知ってます。
先生 じゃあ、彼はお母さんと会ったことはあるわけね?
ゆき はい……。あのう、先生、学校に、こういうことがわかっちゃうと、退学になっちゃうんですけど……。
先生 先生のほうから、学校に知らせるなんてことは、絶対にしないのよ。あなたの秘密を守ってあげるけれど。でも、あなたとしては、隠してお産するってわけにはいかないわね。彼には言ってあるわけ?
ゆき はい。いま、一緒にきています。
先生 ああ、一緒に来てるのね。じゃあね、とにかく妊娠だということを、彼に話をして、そしてどうするか、二人の気持ちを、話しあってみて。そして、話しあった上で、お母さんには、話をしなきゃだめよ。
ゆき ……はい。
先生 16歳でしょ。責任者の方に相談をしないで決めるわけにはいかないの。だから、お母さんに話をして、そしてどうするか決めて。よく相談してね。
ゆき はい。 

■待合室に戻って……
 ゆきの気持ちは、産みたい方に傾いています。2人でがんばれば、やっていけないことはない……。

ゆき ね、いいでしょ?
 (困惑の表情で)この先のこともあるし、どうするんだよ……。

 (彼の独白)ぼくには、子どもを育てていく自信がない。それに、どうやって生活していくつもりなんだ。
 (ゆきの独白)産みたい。学校をやめてでも、産んで育てたい……。
 2人の気持ちは、平行線を辿っています。

■10代のための相談室で――
 産もうか、中絶をしようか、二人は翌日、同じ病院の中にある、“10代のための相談室”を、たずねました。
 相談員の助産師さんは、妊娠と中絶について、図を見せながら説明してくれました。

■妊娠週数の数え方
 これは、WHO(世界保健機関)が統一した、妊娠週数の数え方です。最後の月経のあった週を0週として、1週、2週……と数えていき、40週前後が出産予定日です。
 日本では、「母体保護法」という法律で、最終月経の週から数えて11週と6日までが初期中絶。12週以降21週と6日までが中期中絶。22週以降の中絶は禁じられています。
 望まない妊娠の中絶について、保健師さんは――
 ここが排卵日。このあたりで性交が行なわれたとして、「妊娠では?」と心配になるのは、次の予定日が過ぎても、なかなか月経が来ないことによってですね。
 ゆきは昨日、先生から妊娠10週と6日と告げられましたね。一刻も早く中絶しなければ、中期中絶になってしまいます。(考え込む2人)
 お互いに話しあって中絶を決意した場合、このような同意書が必要なこと、そして、「言いにくいのはわかるけど、二人とも親に相談するように」と助産師さんは、忠告してくれました。

■街をさまようゆき
 ゆきはまだ迷っているようです。産むか……中絶するか。どんなにつらくても、悲しくても、最後に決めるのは、誰でもない、彼女自身なのです。
 ゆきは、その夜、思いきって、お母さんに打ちあけました。

■短大卒業式のあとで
 あれから4年――ゆきは短大を卒業。保育士の資格を取得しました。彼女は当時を振り返って……

ゆき (インタビュー)以前は「好き」だけで、相手のこととか、これから先のこととか、何も考えていなくて、好きであればこのままやっていけると。子どもだって、好きであれば産んで幸せに暮らしていけるって、そんな簡単な考え方でしたけれど、中絶してからは、まるっきり変りました。相手を見る目も変りました。
 彼との交際は?
ゆき 交際は、終りました。
 みんなよりも、特別なことを体験できた。悪いように捉えないで、自分にプラスになるように考えて、経験したことをステップに、これからの考え方も変っていくし、しっかりしてくると思うんです。冷静に物事が見られるようになりました。

■職場に向かって――
 西島ゆき、20歳。彼女はいま、「自立した女性」としての第一歩を、しっかりと踏み出したところです。

税別価格 各巻 12,000円 (ライブラリー価格 各 24,000円)

「思春期の心とからだ」新編集シリーズ 全4巻

ご注文は メール または ファックス で

→DVD一覧   →トップ頁へもどる