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「思春期の心とからだ」新編集シリーズ

2巻 いのちの誕生と成長

◆性教育 ◆中学校以上用 ◆15分

平成24年度 優秀映像教材選奨 優秀作品賞 受賞作品

女性が一生の間に排卵する卵子は約400個。その中の一つが受精して、あなたのいのちになり、子宮で280日間育って生まれてくる。誕生から、歩き始めるまでの1年間を追ったドキュメンタリー。子どもを産み育てる責任とは何かを考えさせる。

 

制作者・北沢杏子より 

 女性は一生の間に約400個の卵子を排卵する。その中のたった1個と、一度に射出された3億もの精子の1つが結びついて受精卵となり、ここに「いのち」が始まる――顕微鏡で映し出される卵子、精子、そして受精の瞬間と受精卵。やがて自分の体内で成長しつつある胎児とエコーで対面する母親。受精から約280日後、時が満ちて「いのち」はこの世に生み出される。本作品は、中学生・高校生が、自分自身の現在の存在と照らし合わせて、この事実を知って欲しいという意図で制作された。

 新生児の誕生から1年間の成長の記録は、助産師による「退院後訪問」に始まって、共働き夫婦の家事・育児の分担、保育所への送り迎えの割りふりなど、特別支援学校の教師として働く2人の葛藤は厳しい。ついで、小児科による「4ヵ月検診」も無事に終ったものの、アトピー性皮膚炎と診断され、引き続き喘息と高熱で入院。

 こうして1年後のある晴れた日、公園の芝生の上を小さな素足が、危うい足どりで歩き始める。「この世に生を受けて、日々成長していくかけがえのないいのち。みんなもこうして、両親はもちろん、まわりの大勢の人びとに支えられて、いま、ここに存在しているのです!」のナレーションで、この作品は終る。

 


2巻 いのちの誕生と成長  採録シナリオ

ナレーション(以下N) このビデオは、この世に生をうけた、誕生から一年間の、めざましい「いのちの成長の記録」です。みなさん自身の現在と、重ねあわせて考えてみましょう。

■いのちのはじまり
 ではさかのぼって、いのちのはじまりである、受精の瞬間から、見ていきましょう。
 これが卵子。直径0.14ミリの、やっと見える砂粒ほどの大きさです。女性は、一生の間に約400個の卵子を排卵します。その400個の中のたった1つに、1度に射出された3億もの精子の中の1つが辿りつきます。そして、受精卵となり、いのちが始まるのです。


 このように、いのちとは、奇跡としか云いようのない確率で結びつき、(エコーで映し出された胎児を見つめる充栄さん)母親の子宮の中で280日間育てられて、生まれてくるのです。

■いのちの誕生
 いま、新しいいのちが生まれようとしています。
 3歳の深愛ちゃん。夫の保人さん。さあ、最後の頑張りです。新生児は、へその緒が切られたあと、「清拭」といって、
全身をきれいに拭き取ります。次に、体重、頭のまわり、胸囲などを測って記録します。
 (新生児が乳房に)生まれてすぐの哺乳。新生児は、教えなくてもすぐに、お母さんの乳首に吸いつくんですよ。その様子に、深愛ちゃんは興味シンシン。保人さんも感動しています。

 初めての母乳を「初乳」といいますが、初乳には、母親から赤ちゃんに受け渡す免疫がたくさん含まれているので、感染症を防ぐために、最も大切な授乳なのです。
 一方、お母さんにとっても、赤ちゃんが乳首を吸うことで、妊娠で広がった子宮を、もとどおりに収縮させる効果が促進されるということです。


■退院の日
 1週間たちました。退院の日――保人さんと深愛ちゃんが迎えにきました。
 保人さんは早速、助産師さんの指導で沐浴の練習。(廊下で)深愛ちゃんは、お母さんに甘えています。
 赤ちゃんの両方の耳に、お湯が入らないように、保人さんの左手が、しっかりおさえています。
 「へその緒」がポロッととれたあとの、おへその消毒を教えてもらいます。


 (医師や看護師に見送られ、新生児を篭に入れて帰っていく充栄さんの家族)今日から深愛ちゃんはお姉ちゃんに。そして家族は4人になりました。 

 保人さんのお母さんが、お手伝いに来てくれました。
 さあ、ここがあなたのお家――赤ちゃんには、真理に向かって歩む人間に成長するようにと願って、真理歩という名前をつけました。

■退院後訪問

 10日ほどたって、病院から助産師さんが「退院後訪問」にきてくれました。(体重を量る)生まれたときは2,706グラム。10日間で300グラムも増えました。
 赤ちゃんのお尻が赤いこと、おへその消毒などの注意を受けました。充栄さんにとって2人目の子どもとはいえ、生まれたばかりの赤ちゃんは、なにかにつけ不安でいっぱい。助産師さんたちの訪問は心強い応援です。

■職場復帰
 12月――8週間の産後休暇が終って、今日から職場に戻ります。(充栄さんは)深愛ちゃんと真理歩ちゃんを連れて保育園へ。赤ちゃんの健康状態を、保育士さんに伝えます。
 「いってらっしゃい」と、深愛ちゃん。
 赤ちゃんの真理歩ちゃんは、半月ほど前から「慣らし保育」に通って、今日からの出勤に備えました。
 充栄さんは、県立特別支援学校・高等部1年の担任です。

充栄さん(担当の教室で) おはようございます。きょうから先生も仕事を始めました。1学期の終わり、夏休みの前に、平岡先生はまだおなかに赤ちゃんがいて、おなかがこんなに大きかったのを、憶えていますか?憶えてない? あのときに、「これから先生はあかちゃんを産むので、お仕事をお休みします」って話しましたね。あれはいつでしたか、季節は?
生徒 夏。
充栄さん 夏でしたね。7月でした。それから、10月12日にあかちゃんが生まれて、今は12月ですね。

 保人さんは、鳴門教育大学附属特別支援学校・小学部の担任。今朝は、子どもたちがびっくりするようにと、いつもより早く出勤して、クリスマスツリーを飾りました。
 保人さんと充栄さんは、「障害児問題を考える会」の学習会で出会い、結婚しました。
 充栄さんの産後休暇が終ってからというもの、保人さんが分担する家事・育児の量は、どっと増えたようです。

保人さん 私は洗濯を主に担当していますので、いちばん変ったことといえば、洗濯の量が増えたことですね。
 お姉ちゃん(深愛ちゃん)の変りぶりがすごくて、妹ができたということで、自分で自分の気持ちをコントロールしているところがはっきり見えていて、(妹の誕生は)大きな意味があったんじゃないかなと思います。
 (一生懸命自分で着替えをしている)自分のことは自分でしようとする自覚が芽生えた、深愛ちゃんです。

■4ヵ月検診
 翌年の2月、真理歩ちゃんの「4ヵ月検診」の日です。
 発達検診を受けに、小児科にきました。
 吊るされた輪の動きを、目でしっかりと追えるかどうかの検査です。
 股関節・脱臼のチェック。大丈夫のようですね。
 首を倒すと、ちゃんと戻すかどうか、その反射をみます。
 こんどはうつ伏せにしたり、抱き上げたりして、姿勢や反射神経のチェックをします。しっかり握れるかどうか、把握反応のチェック。
 こうした検査は、このあとも、6ヵ月、1年、3年後と、続けられるのです。
 充栄さんは、赤ちゃんの顔が、少しカサカサしているのを心配しています。そこで、アレルギー体質かどうかを調べるために、採血をしました。

 1週間後――血液検査の結果、アレルギー専用のミルクに変えるよう、看護師さんから忠告を受けました。

 5月、真理歩ちゃんの顔が、アトピー性皮膚炎で赤くなっています。

■喘息で入院

 7月、こんどは食欲もなくなり、喘息に。大事をとって入院することになりました。

 おばあちゃんが応援に駆けつけました。
 充栄さんは看護休暇を取り、つきっきりで看病。
 家事はおばあちゃんの助けを借りて、保人さんが担当。深愛ちゃんも、あやうい手つきで、手伝っています。
 (9月、保人さんが真理歩ちゃんを抱いて保育園へ)真理歩ちゃんは元気になりました。保育所への送り迎えも2人で分担。サークル活動や研修会など、お互いのスケジュールに合わせての家事・育児も、軌道に乗ってきたようです。

■誕生から1年
 10月――誕生から1年たちました。歩き始めた真理歩ちゃん。(芝生の上でハイハイを始める)やぁ、まだハイハイの方が楽なようですね。
 こんなとき、公園でのお父さんの役割は?なるほど(あかちゃんのオムツを替える保人さん)、オムツがかり。
 共働きを続けながらの、この1年間の家事・育児の分担で、家族はそれぞれ、どう変わったでしょうか?
保人さん 仕事を持っているってことで、どうしても時間に追われて、子どもとのかかわりが充分でなかったり、もっともっと相手をしてあげなくちゃいけないなというところはあるんですけど……。それは例えば、学校から帰ってきて、晩ごはんの片付けのときなんかもね。
充栄さん 夜泣きをしたり、グズったり、病気もしたり熱を出したり、そういういろいろな大変なことがあって、
保人さん 一人ひとりが意味を持って、子どもとかかわってるなぁ、ということを感じます。

 この世に生をうけて、日々成長していく、かけがえのない「いのち」。

 みんなも、こうして、両親はもちろん、まわりの大勢の人びとに支えられて、いま、ここに存在しているのです!



税別価格 各巻 12,000円 (ライブラリー価格 各 24,000円)

「思春期の心とからだ」新編集シリーズ 全4巻

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