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小学生のエイズのべんきょうシリーズ

1巻 からだのていこう力とエイズ

◆性教育 ◆小学校中・高学年用 ◆13分

からだのていこう力とエイズ を制作して  〜制作者 北沢杏子

 このビデオ教材は、私が全国の小学校の要請で、5・6年生を対象に各3時間を使って、児童たちの疑問に答え、紙芝居やクイズをもとに作りあげた苦心の作品です。
 小学校5・6年生の「保健」教科書にはエイズの単元がありますが、HIV/AIDSが性感染症であることには触れていません。そのため、年間1,000人以上のHIV感染者が増え続けています。現在、先進国の中でHIV感染者が増えているのは日本だけといわれているのは、その感染経路を教えていないからだと私は思っています。
 HIVは、感染した人の血液、精液、ちつの分泌液、母乳にたくさん含まれています。従ってこの教材では「性交」による感染がもっとも多いことについても、はっきり教えました。中学生になってから教えるより、ずっと素直に受け入れるという実感を、下記の感想文からも、私は得ています。

 「エイズにかかる原因が、ぼくたち人間が子孫を作るためにする“性交”で感染することを聞き、びっくりしました。ぼくは、エイズにかかる、かからないにしても、性交はとても大切な行為だと思います。いやらしいと思う人もいるかもしれないけれど、性交は赤ちゃんを産むため、新しい命を誕生させるための大切な行為だと思います。ぼくはきょうの授業を聞き、結婚する時は、その相手をよく知ってからじゃないとダメだと思いました」

 

ダイジェスト

オープニング

抵抗力ってなんでしょうね?病気とたたかう力。
 まずね、この教室の中には、目に見えないけど、空気中にたくさんの病気の原因になる病原体――病気のもとになる細菌や、ウィルスや、カビや、原虫ってね、そういうものがブンブンブンブン飛び交ってるのよ。
いっぱい、いろんな病原体があるのに、みんなは元気で今日も学校に来ています。

■うつる病気、うつらない病気
病気には、うつる病気とうつらない病気があります。
みんなは、知っている病気の中で、うつる病気とうつらない病気に分けて貼りました。

うつる原因の病原体があったでしょ。細菌、ウィルス、それからカビ。カビも飛んでるのよ。それから、原虫って小さな見えないような虫。そんなのがいっぱいいます。そういうのが入ってくると……、そしてからだの抵抗力がない場合にうつる。

からだの抵抗力。それはみんなの血液の中の白血球が受け持っているんです。
みんなの血液の中には、赤血球――これは、からだの隅々にまで酸素を運んでくれます。
血小板――これは、例えば指を切ったりしたら、サッと傷口に集まって、血を止めてくれます。
白血球――これが、いつもパトロールして、病原体の侵入から、わたしたちのからだを守ってくれているのです。

白血球にはいろんな種類があるけれども、5人のスタッフを紹介します。

食いしん坊のマクロファージ。
ああせいこうせいと命令を出すT細胞。
ウィルスと闘うキラー細胞。
抗体というものを作る、働き者のB細胞。
記憶するのが得意のB細胞。

■紙芝居 からだのていこう力
紙芝居1 みんなのまわりには、病原体がたくさんブンブン飛び交っていることがわかった。その病原体の中には、はしかも入っています。
紙芝居2 ほら、はしかが入ってきた、からだの中に。そしたら食いしん坊がね、「あ、はしかが入ってきた、食べよう食べよう食べよう」ってね、よだれをたらして食べちゃったの(笑)。
紙芝居3 そしたらね、命令するT細胞のところへ、ビビーンってわかってね、「闘うキラー細胞ふえろー」「抗体つくれー」って命令します。
紙芝居4 そしてね、「抗体発射!」って命令した。B細胞が抗体をビューンって発射したら、どこに飛んでいくかな?
子ども はしかの菌にとんでいく。
紙芝居5 そうだったよ、ほら、はしかにビューっとね。(するとはしかのウィルスは)「うっ、動けない」って金縛りになっちゃったの。「チッ、しまった、動けない!」そしたらキラーが飛んできてやっつけるわけ。
紙芝居6 それでね、はしかのウィルスはみんな死んじゃったじゃない。そ
れから、たたかう細胞も死んじゃう場合もあるの。これを見て、「よし覚えたぞ」って、記憶するB細胞が記憶する。そして、食いしん坊だけじゃないのよ、マクロファージは。お掃除もするの。じゃないと、からだの中に、死んだはしかがいっぱい残ったら困るでしょ。だからお掃除します。
紙芝居7 しばらくたって、またはしかが入ってきました。でも、記憶するB細胞がもう覚えてたじゃない。「あっ、また、はしかだ!」って叫ぶと、すぐに抗体が飛んで来ちゃうの。だからもう2度とかからない。みんなも、はしかには2度とかからないでしょ?

では、エイズはどこが違うのでしょう?

紙芝居8 エイズが入ってきた、エイズのウィルスが入ってきた!マクロファージが食べてるよ、やっぱり。
紙芝居9 で、命令を出すT細胞が、「キラー細胞ふえろー」とか「抗体つくれー」って言ってるんだけど、なんだか元気がないじゃない。声が小さくてほかのスタッフに行き渡りません。なんか元気がない。どうしてかな?
これがいちばん大事な命令するT細胞だったでしょ。その中に入っちゃったんです。



紙芝居10 この中で増えて、ほかの元気な命令するT細胞のところに行って、そこで増えちゃって……、
紙芝居11 それでもう、このいちばん大事な、命令するT細胞がみんな死んじゃった。



命令するT細胞がいなくなったから、他の細胞は何やったらいいかわからない。こうなってくるとどうなりますか、みなさんのからだは、抵抗力がどんどん低くなってきます。そうすると、
紙芝居12 そう、ほかの病原体が入ってくるよ。だから、いろんな病気になります。ひとつの病気だけじゃないよ、抵抗力がないから、いろんな病気になる。それで、どんどんどんどん重くなっちゃう……というのがエイズです。

■エイズのウィルスはどこにいる?
では、エイズのウィルスは、いったいどこにいるのでしょう?
感染した人の、血液の中。精液の中。精液というのは、精子を守る液です。そして、腟またはワギナの分泌液の中。これは腟を守る液のことだけどね。そして母乳の中。エイズのウィルスはこういうところにいます。

「エイズはどんなことでうつると思いますか?」というアンケートに、みんなはいろんな答を書いてくれたよね。
その中で、熊谷さんの答は……(と、黒板に熊谷さんが書いた文を読み上げる)。



「コンドームの正しい使用が予防になる」。
コンドームっていうのは、ゴムのね、お帽子なの。ゴムのお帽子をかぶせたら、精液があっちへ行かないから、女性にうつらないし、もし女性が感染して男性にうつす場合は、腟の分泌液が出ても、ここにお帽子があるから、うつさない。
 中学や高校に進んだら、もっと詳しく勉強できると思います。

■日常生活の中で――うつる・うつらない
みんなは、うつる、うつらないのマグネットを貼ってみました。



チョコレートをかじりっこしたり、ジュースの回し飲みがうつると思った人――これはね、うつらない。抱きあっても握手してもうつりません。握手してもうつりません。それから、ペットからもうつりません。
キスは、うつらないの。
食器でもうつらないよ。それから歯医者さんも消毒してあるからうつらない。プールで一緒に泳いだってうつらないよ。それからね、蚊やノミやハエなんかね、刺したってうつらない。
一緒にお風呂に入ってもうつらない。それから咳やくしゃみでは、インフルエンザじゃないから、うつらない。トイレカバーなんかではうつらない。洗濯機で一緒に洗濯してもうつらない。
ただ、怪我をしたら、エイズに限らず、お友だちが怪我をして血がついたらね、手をきれいに洗って、保健室に一緒に行きましょう。

うつるのは4つだけです。



麻薬や覚せい剤の注射器の回し打ち。
それから、さっき説明した性交――コンドームをしない性交。
感染しているお母さんからあかちゃんへ。日本をはじめ先進国では、陣痛がおこるずっと前の早い時期に、手術であかちゃんを取り出すので、うつりません。
そして、最後に母乳――の4つです。

母乳は、日本の場合は、もしお母さんが感染してるってわかったら、お医者さんが、「母乳を飲ませてはいけません」って言うからうつらないんだけど、アフリカや東南アジアの一部の最貧国では、お母さんが感染していても、食べるものがないから、しょうがないから母乳をあげます。そうするとあかちゃんにうつるね。悲しいことだね……。

お金のある国の人もない国の人も平等に、エイズの治療ができるようになるといいですね。そのために、みんなの一人ひとりができることは何か、考えてみましょう。

税別価格 各巻 12,000円 (ライブラリー価格 各 24,000円)

小学生のエイズのべんきょうシリーズ全2巻

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