テキストによる採録
ナレーション(以下N) 遠視、近視、メガネをかけていない正視の子、それから乱視の子。
遠視、近視、乱視の子がメガネをはずしたら、りんごはどんなふうに見えるのかな。
OHPにりんごの絵をのせて、それぞれがどう見えるのか、説明してもらうことにしたんだ。
正視の子 ぼくは、右が1.5、左が1.2です。だから、こんなふうにちゃんと見えます。
N 近視の子は?
近視の子 ぼくは0.3と0.5なので、メガネをはずすと、こんなふうに、ぼんやり見えます。
N 遠視の子はどうかな?
遠視の子 わたしは遠視なので、メガネをかけなかったら、こんなに、ぼやけて見えます。
N 乱視の子はどうだろう?
乱視の子 わたしは、メガネをかけなかったら、周りの線がギザギザに見えて、よく見えません。
N 目は、どんな構造になっているか、知ってるかい?
みんなの目の玉は、もし、取り出すことができたとしたら、先生が右手に持っている、ピンポン玉ぐらいなんだ。
眼球の中は、透明な液や、軟らかい物質で作られているので、外は白くて丈夫な強膜が包んでいる。そして、前のほうにだけ、透明な角膜がかぶさっている。
外側の白い膜を取り除くと、ぶどう色のぶどう膜があらわれる。目の中を暗室のように暗くしておくために、濃い色がついてるんだ。
血管がたくさん走っているね。この血管を通して、目全体に栄養が運ばれてくるんだ。
目を正面から見ると、真ん中に、光を通す瞳孔という穴があって、周りを茶色の虹彩が取り囲んでいる。虹彩というのは、カメラの絞りに似ていてね、明るいところでは絞り、暗いところでは開いて、瞳孔に入ってくる光の量を調節してるんだ。
次に、ぶどう膜を取り除いてみる。右が水晶体。左がガラス体だ。水晶体とガラス体の中には、透き通ったゼリーのような液が入っていて、とても軟らかく傷つきやすいんだ。遊ぶときには気をつけようね。
ガラス体を取り除いてみると、奥はこんなふうになっている。ここを網膜といって、明るさや色や形を見分ける細胞が、びっしり並んでいる。網膜は、見たものを映し出す大切なところなんだよ。
児童 見たものが逆さに映るって本当?
N そう。この子は今、机の上に置かれたりんごを見ているね。すると、水晶体、ガラス体を通して、網膜にはこんなふうに逆さまに映るんだよ。
児童 でも、逆さまには見えないよ。
N それはね、網膜の後ろにある視神経の束が、映ったものを大脳に伝え、大脳が正しく直してくれるからなんだよ。つまり、目が写し取ったものを大脳が読み取って初めて「物を見た」ことになるわけなんだ。
では、近視や遠視、乱視の子は、どうしてりんごがぼんやり見えたり、周りの線がギザギザに見えたりするんだろう?
まず、1.5と1.2という正視の子の場合。こんなふうに、網膜にぴったりりんごが映ってるね。ところが、0.3と0.5の近視の子は、こんなふうに、網膜より前の方にりんごが映ってしまう。それでボンヤリとしか見えないんだね。だが、自分の目の状態に合った正しいメガネをかければ、下の絵のように網膜にぴったり映るようになるんだよ。
遠視の子の場合は、網膜より後ろのほうにりんごが映ってしまう。これも、自分の目の状態に合ったメガネをかければ、下の絵のようにぴったり映るから、心配はいらない。
乱視の子の場合は、角膜にゆがみがあるので、りんごの形が部分的にゆがんで映る。だが、これだって自分の目の状態に合ったメガネをかければ、ちゃんと見えるから大丈夫。
視力検査で注意されたら、まず目のお医者さんへ行って、詳しく検査を受けること。また、一年に一回は検査を受け、いつも自分の目の状態に合ったメガネをかけること。
もし、目やにが出て目が赤くなっていたり、まぶたがゴロゴロするような感じがしたら、すぐ家の人に言って眼科に行くこと。流行性結膜炎やプール熱などはウィルス性の病気だから、友だちにうつしてしまったら大変。このような目の病気にかからないためには、学校でも家でも手をよーく洗うこと。プールから出たら、きれいな水で目をよく洗うことも大切だ。
坂上達志先生 まずこれを見てください。メガネの役割の一番目は、ものがよく見えるようにすることです。黒板がよく見えないと勉強についていけないし、映画を見に行っても楽しくないでしょう。
二番目は、疲れないようにすることです。特に遠視の子は疲れやすいのです。
三番目は、目つきが悪くならないようにすることです。特に、近視の子や乱視の子は目を細めます。
四番目は、斜視にならないようにすることです。遠視の子の中には、黒目が内側に寄ってしまって、とってもつらい子がいるんです。だから、目の悪い子にとって、メガネはとっても大切なものなんですよ。
この絵はなんだかわかりますか?そう、虫眼鏡で太陽の光を集めて、黒い紙を燃やしているところですね。目にも水晶体という虫眼鏡のようなものが入っているから、ずっと太陽を見ていると、目の奥の網膜というところがヤケドを起こしてしまうんです。
これは、太陽性網膜炎とか日食性網膜炎とかといって、太陽の光の赤外線というもので起こる、やはり光が原因のケガなんです。ひどくなると、視力が落ちたまま元に戻らなくなることもあるので、太陽の光を見つめないようにしましょうね。
(黒い眼鏡と白い杖の人のパネルを示して)
この絵を見てください。この人たち(視覚障害者)が、人混みの中や信号のところで動けなくなっているとき、どのようにして助けたらいいのかな?
そう、手を引いてあげたり、自分の着ているものを掴んでもらって、ゆっくりと前を歩くのが正しいやり方なんです。後ろから押されると、目の悪い人は、とっても怖い思いをするんです。
椅子に座らせてあげるときは、手を椅子に触わらせてあげるか、椅子を叩いて場所を知らせてあげると、上手に座ってくれますよ。
N みんなは、目の不自由な友だちに、どんなことができると思う?みんなも、目の不自由な人がいたら、すすんで力になろうね。