正しい知識だけではエイズは予防できない。科学的側面と同時に個人個人が性行動に直面したときの意志決定力、また、HIV感染者/患者のかかえる社会的問題と、その厳しい闘病生活へのいたわりの気持ちと共生を忘れてはならない。
“エイズを学ぶ”シリーズは、コンピューターグラフィックによるよくわかるエイズが入門編。エイズの授業―1年6組エイズの授業の記録―が予防法と意志決定、および感染者/患者へのいたわりと励まし編。エイズと生きる人―故平田豊さんは語る―は、精神面と社会的側面からの理解と援助、そして、さぁいこう!エイズの抗体検査によって自分の健康管理への自覚を促す―エイズ教育の決定版といえると思う。
“エイズを学ぶ”シリーズを制作して……………北沢杏子
1巻
エイズの授業
NHKテレビでも放映されて大反響をよんだ北沢杏子のエイズの授業をベースに、社会科、英語、音楽の先生も進んで取り組む。神奈川県立高校1年6組の4カ月にわたるエイズの学習を追ったドキュメンタリー。
エイズ患者でシンガーソングライターの故ショーンさん、“隠さずに生きたい”と名乗り出た故平田豊さんが、エイズゆえに人権を侵害されながらも果敢に生きる姿も描かれている。
“こわいのはエイズではなく、自分たちの偏見”と生徒が感想を述べるラストが感動的だ。
2巻
エイズと生きる人
アメリカでは、トレーニングを受けた感染者/患者が職場や学校に出向いて自分の症状や体験談、社会的差別や、一般の人々への警告などを語ることで教育効果をあげている。
このビデオは1993年4月、故平田豊さんが自分自身の発病、告知、家族、サポートグループへの感謝、死生観を語り、社会的弱者への思いやりと理解を―と淡々と訴える。
“社会から見たエイズでなく、エイズから見た社会が、もっとよくなること”を切望し、“愛を見失ってはならない”と結ぶ。(聞き手
北沢杏子)
3巻
コンピューターグラフィックによるよくわかるエイズ
コンピューターグラフィックによる鮮明でわかりやすいアニメーションを駆使して、人間の体の免疫システムを説明する。
マクロファージ、ヘルパーT細胞、キラー細胞、B細胞、記憶するB細胞の役割と活躍ぶりを、体内に細菌が侵入してきた場合とHIV(エイズを引き起こすウイルス)が入ってきた場合を比較しながら、免疫の司令官であるヘルパーT細胞のDNAにHIVのRNAが逆転写酵素によって、どのように組み込まれ増殖していくかを克明に見せる科学編。
4巻
さぁいこう!エイズの抗体検査
「いま行動しよう、対策を立てよう!」WHO世界エイズ対策局長は、全世界に向け、こう呼びかけた。
アジアにおけるエイズ患者数は過去1年に8倍にふくれあがっている。
このビデオは、保健所でHIV抗体検査を受けるときの申しこみ方に始まって、問診、採血、告知、カウンセリングの様子を、実際にこの仕事に携わっている医学博士吉永陽子先生に再現していただき、一般の人々はもちろん、中学生、高校生にも「自分の健康管理は自分で!」の意識をもつことの重要性を訴える。
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