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国連人口基金が発表した2003年『世界人口白書』は、こう警告しています。「いまや、10代から20代の若者たちはエイズウイルス(HIV)、性感染症、望まない妊娠に直面!健康の危機にある」と。同白書によると現在の世界の人口は63億人、その半分は25歳未満。そして、いま地球上で新たにエイズウイルスに感染する人、発症する人は年間500万人。なかでも10代・20代が最も多く1日にすると推定6,000人。14秒にひとりが感染、または発症しています。
工業先進国の中でHIVに感染する人が増えているのは日本だけで、未報告も含めると年間推計3,000人が感染。そのうち、10代20代が40%以上を占めているということです。20歳未満の人工妊娠中絶数も46,000件を越え、過去最高を記録。今後も増え続けるだろうと予測されています。加えて性感染症も激増。クラミジアは現在、推計100万人が感染していると報告されています。エイズウイルスの感染率は10%以下と言われていますが、クラミジアやヘルペス他に感染していると、5〜10倍に跳ね上がります。
東京都の某高校の保健室に、この1年間に相談してきた女子216人を調べたところ5人に1人がクラミジア、ヒトパピローマウイルス(子宮頸ガンの原因といわれる)は3割を超えたとのことです。
前述の世界人口白書は「若者に支援と教育の機会を!」と訴え、ABCをキーワードに教育活動を展開するよう各国に呼びかけています。A=Abstain(性行動の抑制)、B=Be faithful(ひとりのパートナーに誠実)、C=Condoms(コンドームの使用)の頭文字をとったものです。さらに加えてD=drugs(薬物乱用防止)も。
中・高校生間で薬物の売買が始まっている現在、まさに、ABCDのアプローチは必要かつ、緊急課題といえましょう。
そこで私は、産婦人科および泌尿器科の専門医の協力を得て、外来の若者の感染のケースを実話にもとづいて脚本化し、それをちりばめて、中・高生対象の教育ビデオを制作しました。『10代に知らせたい!性感染症とエイズシリーズ』女子編、男子編の2巻からなるこの新作ビデオ教材を、若者の健康の危機を阻止するために、現在、各地の講演先で上映。好評を得ています。 |
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