2004.10月

       
 

10代の望まない妊娠・性感染症・エイズを防ぐ方法、あれこれ…

 
 
 

「性を語る会」代表 北沢 杏子

   
       

 

 ブッシュ米大統領は、「結婚までは禁欲」教育プログラムに対する助成金倍増計画を発表した。このプログラムは1998年からアメリカ全州で実地されているもので、助成金は日本円にして年間60億円。すでに累積赤字は140億円を上回っており、今回の大統領の倍増計画で(連邦政府の助成4ドルにつき、各州は財源から3ドルを支出しなければならない)各州は限られた財源の目減りに頭をかかえているとか。

 一方、この助成金を受けた学校、放課後活動グループ、集会、行事、保護者団体などは、結婚前の10代の若者たちに避妊法や性感染症(エイズを含む)の予防教育を行なってはならず、現実とのギャップにお手上げの状況。

 いったい、この禁欲(節制)教育立法が、若者の望まない妊娠や性感染症の予防に役立っているのか? 現在、連邦政府の委託で、教育関係の統計で定評のあるM社が調査を行なっており2005年夏には結果報告が出される予定だそうだ。

 お国柄とはいえ、スウェーデンでは若者の間で急速に広がっている性感染症を防ごうと、この夏から、「コンドーム救急車」を走らせることにした。RSFU(スウェーデン性教育協会)が行なっているこのコンドームキャンペーンは、私がスウェーデンに取材にいった1970年代に既に行なわれていたのもので、目新しいことではないが、今年から始めた「チョウさんエクスプレス」は、若い恋人たちがベッドを離れることなく電話1本で1パック10個入り(750円)のコンドームが届けてもらえるという利点がある。

 この目的は、コンドームはより簡単で、ためらうことなく使用できる避妊具であり、性感染症予防に役立つ唯一のものという感覚を若者たちに植えつけること── 「夏は開放的で恋に陥りやすい季節。チョウさんエキスプレスをお忘れなく!」とRSFUのキャンペーン本部長は、物わかりのいいメッセージを伝えている。

 さて、振り返って日本の若者たちはどうだろう?20歳未満の人工妊娠中絶数は年間46.000件。HIV/エイズ感染者は推計年間3.000人。うち、10代20代が43.3%を占めているというのに、教育現場では「性教育バッシング」がますます加速し、指導要領にないことを教えた教員は指導力不足教員として飛ばされかねないのが現状だ。

 アメリカとスウェーデンと日本── 若者にとって、どれが現実的だと思いますか?

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