2005.11月

       
 

村で開いた反戦映画を観る会

 

 
 

「性を語る会」代表  北沢 杏子

 
       
 

   私が八ヶ岳山麓で約1,000坪の畑を耕し、無農薬野菜を作っている農業従事者でもあることは前にも書いた。古い友人であるY・Nさん(もと教員)は定年退職後、この地に移り住んで、あっという間に住民たち100余名の憲法『9条の会アピールに賛同する会』を立ち上げ、過日1周年を迎えた。その間、バスを借り切って東京・有明コロシアムで行なわれた『9条の会・有明講演会』1万人集会に参加したり、各種の“戦争と平和”講演会なども仲間を募って聴きに行くという「非戦」行動を実践している。
 私は去る10月29日、(9条なので9のつく日という指定で)彼女が企画した「戦時下および武力紛争下の性暴力」をテーマに、私が製作したビデオ『元“慰安婦は語る──さんを訪ねて』『台湾・少数山岳民族女性の日本兵士への性的服務』他、韓国KBS製作の『回想』の一部、『731部隊の証言』の一部の上映と、その解説を加えた“反戦映画を観る会”を、上記八ヶ岳の畑の中に建つプライベート・シアターで開いた。

  この建物は、もともと私が経営する零細出版社、アーニ出版の、教育教材ビデオ編集作業のための編集室で、室内に100インチのスクリーンと映写機が備えてあるのは、私が製作した作品を点検するのが目的なのである。だが、住居の近くで反戦映画が観られるというので30人からの会員が集まり、とくに、いわゆる“従軍慰安婦”という、文字でしか見たことのない映像の事実に、一同固唾を飲んで凝視し、意見が飛び交う集会となった。

  私自身も、この集会で出るであろう質問に応えるために「女性国際戦犯法廷報告」全2巻をはじめ、日本国憲法改正(悪)案、改正(悪)教育基本法案、目下検討されている改憲の国民投票案他、たくさんの本や資料を机上に積みあげて読み、メモをとる数日を過ごした。
 こうして見えてきたものは、教育基本法に“国を愛する心”などを盛り込み、子どもたちを再び戦争への道へおうとする現政権の意図であった。既に‘04年、東京の都立学校の卒業式・入学式では「日の丸・君が代」強制の嵐が吹き荒れ、3月末には「君が代」斉唱で不起立の教職員196名が処分されている。

  折も折、10月29日の新聞は、「自民党、新憲法草案を決定」を報道した。にも、9条の戦争放棄1項の条文には手をつけず、2項の「陸海空軍その他の戦力を保持せず、国の交戦権を認めない」を全面改悪。「自衛軍を保持し緊急事態においては、(軍事)活動を行なうことができる」としている。戦争はいやだ! 女への性暴力を繰り返すな! わが子を、わが生徒を再び戦場に送るな! を叫び続けよう。

 
 

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