2013. 1月

       
 


憲法96条、9条を再読して選挙のあり方を考える

 
 

「性を語る会」代表 北沢 杏子

 
       
   

 2012年12月16日の、戦後最低の投票率(59.32%)だった衆議院議員選挙。あれよあれよと言う間の離合集散の多党乱立の中、民主党の大惨敗を尻目に、自民党はなんと294議席を獲得した。そして自公連立を組む。公明党の議席をあわせると325議席。左図にあるように、全議席の2/3の320以上を獲得してしまえば、なんでも思うようにできる。
 論より証拠、安倍内閣は真っ先に、憲法を「改正」して国防軍を創設しようと躍起だ。そのためには9条に手を付ける前に、96条を強行する考えらしい。議会制民主主義のわが国で、野党の議席が少な過ぎて機能しないとなると、国民にとって不幸な結果を招くのは明らか。まずは憲法96条を読んでみよう。

 「第96条 この(日本国)憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案して、その承認を得なければならない。この承認には、特別国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする」となっている。
 昨年12月の選挙演説合戦のさなか、社民党の福島瑞穂党首が「憲法9条!9条があったからこそ、私たちは国際紛争に加わることなく、1人も殺さなかった、1人も死ななかった!」と絶叫していたのを思い出す。その社民党は、2議席しか獲得できなかった。私は地域の「9条の会」のメンバーだ。9条を読んでみよう。

 「第二章 戦争の放棄―第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保有しない。国の交戦権は、これを認めない」。
 この「平和憲法」の草案は、終戦と同時にGHQ(連合軍最高司令官総司令部)の統治下にあった日本政府とGHQとの間で十数回ものやりとりの後、1946年6月25日に衆議院上程、可決された。だが、日本が独立して以降、自民党を主とする歴代内閣府は、「占領軍に押し付けられた憲法だから“改憲”を」と言い続けてきた。

 昨年末の衆院選中、安倍晋三氏は「集団的自衛権の行使が(憲法に拘束されて)できないとなると、どうなるか?尖閣近辺の公海を航行中に米艦が攻撃されても、海自艦は助けに行けない。グアムの落ちる(北朝鮮の)ミサイルを打ち落とそうにも、手も出せない。これが集団的自衛権を行使しないということ。その瞬間に日米同盟関係は終る……となったら、どうするんだ!」と国民を脅かしたのだった。
 これに対し公明党の山口代表は、「国民は(改憲を)すぐやれとは望んでいない」と慎重な姿勢だ。それを横目で見ているのが54議席を獲得した“日本維新の会”の石原慎太郎代表。「自民党が諸悪の根源の憲法を、どう変えるかだ」と、共同歩調をとる気満々。来る7月の参院選で“維新の会”が議席を伸ばせば、いよいよ「改憲まっしぐら」となる可能性がある。7月の参院選には、よほど気を引き締めて投票しなければ、「改憲」「国防軍創設」「軍国主義日本」へと、一挙に坂道を転がり落ちることは必至だ。

 12月26日(2012年)安倍政権発足。私たちの暮らしも国策も「安倍一色」に変わる。原発・経済・社会保障・外交など、どうなるのか?案の定、自公両党の連立政権合意の際の、将来的な原発ゼロを目指す公明党の主張は退けられ、「可能な限り原発依存を減らす」と、なし崩し的に原発依存に戻る気配の公表になっている。
 医療・介護・年金などの社会保障も、公明党の切り下げ反対に対し、「適正化に向けた見直しを行う」とあいまいな表現に。教育では「伝統文化の尊重、家庭教育の支援、近隣諸国条項の見直し(歴史教科書の改訂?)」と、保守一色。外交では、尖閣諸島問題他を「いま、そこにある危機」と表現。安倍晋三氏は、米国との間で「同盟の絆を強化」するために、1月下旬にも訪米の意向だ。
 そうこう言っているうちに12月27日(2012年)、小沢一郎氏は、「日本未来の党」から分派し、党名を「生活の党」に変更。所属国会議員17人のうち15人は「生活の党」に移った。残った「日本未来の党」の国会議員は、社民党を離党してきた阿部知子氏だけになった。節操のない国会議員らの変節ぶりに、私たちはどう対応すべきか。7月の参院選には、じっくり考え、投票率を上げなければならない。そもそも、冒頭に述べた私たち民衆の投票率の低さ、政策への無関心さが、今日のこの結果を生んだのだから。主権在民、主権者は私たち民衆なのだ!

感想をお寄せください

 
 

 「月替りメッセージ一覧」へもどる   

トップページ「北沢杏子と性を語る会」へもどる