2018. 2月
世界中に拡がる
セクハラ・性暴力への抗議運動「#Me Too=私も!」■世界中に拡がった#MeToo(ハッシュタグ・ミートゥー=私も)の発端は?
2017年10月初旬、ハリウッドの多くの女優たちが、大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏からセクハラ・性暴力を受けたと告発したのが発端だ。
続いて10月15日、女優のアリッサ・ミラノさんが、「性的ハラスメントや性暴力を受けたことがあるなら『Me Too』とツイートしよう」とツイート。
その2時間後、人気歌手のレディー・ガガさんらが「#Me Too」とツイートすると、リツイートを含めて世界中に爆発的に拡がっていく。
■#Me Too、米政界直撃!
報道で痛快だったのは、「#Me Too」が米政界を揺さぶり複数の議員が辞任に追い込まれている、という情報だ。
@ 共和党(与党)のフランクス下院議員が、元スタッフからセクハラ被害を訴えられて辞職。
A 野党の民主党でも、フランケン上院議員が、複数の女性にセクハラをした疑惑が浮上し辞意を表明。
B 同党のコンヤーズ下院議員が、元スタッフからセクハラ被害を訴えられ辞職。
C アラバマ州の上院議員補欠選挙では、共和党のロイ・ムーア候補が、10人の女性から性被害を受けたと訴えられ、落選!―と小気味いい結果となっている。
ところが、1995年にできた「議会説明責任法」は、議員や議会職員らがセクハラ行為を行った場合、被害者は法令順守局(OOC)に届けなければならないとなっており、被害者には、加害者の名前や内容を口外してはならない守秘義務が課せられている―というのだから、ムッムッとくる。
しかも、被害者に慰謝料を払う場合、国家予算に計上されているOOCの特別基金(市民による税金)から支払われるというのだから、何をか言わんや!だ。
11月15日(2017年)、この特別基金からの慰謝料に対して、民主党のジルブラント上院議員と同党のスピアート下院議員が記者会見し、@被害者への守秘義務廃止。A加害者が慰謝料の金額をOCC特別基金に払い戻すこと、を盛り込んだ「Me Too議会法案」を発表。上下両院に提出した。更に、大統領選挙中に16人の女性からわいせつ被害を訴えられたトランプ大統領に辞任を要求した、というのだから、さて、どうなるか?
■「沈黙を破った人たち」と、米タイム誌が表紙でアピール―
米タイム誌は毎年、年末号に「今年の人」の特集を組んでいるが、2017年は「#Me Too」で告発した著名な女性たちで表紙を飾った。しかも全員が、黒の喪服を着ているのだ!だが、よく見ると、きりっと正面を向いている5人の右隅に、肘だけしか写っていない1人の女性が配されている。これは、性暴力被害(レイプ)にあっても、「声をあげられない人たち」を表わした構図である。そう、顔を出して性暴力被害者であることを告発する勇気ある女性は、ごく少数に過ぎなかったのだ。
2018年1月7日、第75回ゴールデングローブ賞の授賞式が米ロサンゼルスで開かれた。授賞式に臨んだ女性たちは、「Me Too !」に対する連帯を示すために、黒のドレスで出席。黒人女性として初めて受賞したテレビ司会者のオプラ・ウィンフリーさんは、「いま、この式を見ている若い女の子たちに、新しい日は地平線のすぐそこまで来ていると知って欲しい」と語り、セクハラのない社会の実現を促したのだった。