2018. 10月
米国 トランプ大統領の
「Global Gag Rule(口封じの世界ルール)」再導入令に、
世界中の女性が立ち上がった! そのU
■トランプ大統領の「助成金禁止令」に、世界中の女性が抗議!
世界421のNGO団体は、トランプ大統領宛に「メキシコシティ政策に反対する」抗議文書を提出。「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の女性権利アドボカシー・ディレクターのニーシャ・ヴァリアは、「トランプ大統領によって強化されたグローバル・ギャグ・ルールは、反女性・反家族・反言論の自由だ!世界各地で懸命な努力の末実現した「性と生殖に関する健康と権利」の前進を台無しにした!」と宣言した。
2017年5月15日、この巨額の米・助成金(95億米ドル)禁止が施行された。その影響について、世界保健機関(WHO)は、次のような「予測」を公表した。
@ 1日に830人の女性と少女が妊娠・出産の際に、避けられるはずの原因で死亡し、途上国では700万人の女性と少女が、安全でない中絶手術の合併症で治療、これが原因で2万2,000人が死亡するだろう。
A 2億2,500万人の女性と少女が、性情報、性教育、避妊具、避妊薬の入手が困難となる。
B 男性へのリプロダクティブヘルス教育・情報が行き渡らなくなる結果、男性が避妊に非協力となるばかりか、性暴力・強制性交による望まない妊娠で、特に途上国の女性は5〜7人の子どもを産み、貧困・疾病・死亡につながるだろう。
■米国・国務省に対し国際家族計画連盟(IPPF)が声明―
トランプ大統領の「グローバル・ギャグ・ルール(95億米ドルカット)」施行から半年たった2017年9月、国際家族計画連盟(IPPF)は声明を発表した。「米トランプ政権の“助成金打ち切り”は、世界の家族計画に励むNGOを直撃した。今後(トランプ政権の続く)4年間で(29カ国のIPPF加盟協会において)650万件以上の望まない妊娠、220万件以上の中絶、うち2万1,700人以上の死亡が予想される―と。そして現実的な問題として、各国の加盟協会から、「下記のような現状が訴えられている」―と、つけ加えた。
@(例として)「IPPFモザンビーク」(モザンビーク協会)は、運営費の60%を米国の助成金に頼っていたが、カットされたため、18ヵ所のクリニックを閉鎖/47%のスタッフを削減/毎月72件実行してきた“移動クリニック”を中止せざるを得ない窮地に陥っている。
A 家族計画、HIV感染予防、性暴力抑止教育、結核の治療と感染予防、若者対象の医療(特に人工妊娠中絶に関する)情報、手術、術後のケアなどが阻害されている。(例として)15〜19歳の少女たちに避妊のレクチュア、コンドームおよび避妊薬ピルの配布が、資金的に不可能になった/適切なサービスが受けられれば回避できたはずの、不適切な妊娠・出産・中絶で死亡する少女・女性が増えている/乳幼児の定期健診ができなくなり、予防接種も見送らざるを得ない/女性たちが“中絶禁止法”改正について議論すること(ロビィング)を避けるようになった―と。
そして更に、各加盟協会に、せめて1億ドルの援助があれば、「2万件の妊婦の死亡を防ぎ/480万件の意図しない妊娠を防ぎ/170万件の安全でない中絶を防ぎ/27万5,000人のHIVと共に生きる妊婦の健康を守り/生まれてくる新生児へのHIV母子感染を防ぎ/7,000万個のコンドームを配布することで、意図しない妊娠を減らし/HIVその他の性感染症を防ぎ/52万5,000件の性感染症の治療ができたはずだ」―と、助成金復活を訴えている。
■いま、優先的になすべきことは何か?IPPFの回答―
何よりも「性と生殖に関する健康と権利」推進のための資金不足を解消し、合法で安全な人工妊娠中絶を提供している組織を支援するための、あらゆる対策を考え、果敢に闘っていくことだ。いまや、世界各地で、トランプ政権の助成金禁止に対し、ウィメンズマーチなど反対運動も起っている。世界中の女性と男性が連携し、「性と生殖に関する健康と権利」のために立ち上がろう!このIPPFのスローガンが、本稿の「結び」である。