第13回 

 私と性教育─なぜ?に答える

 


  北沢杏子によるリプロヘルスのワークショップ──チュニジアで

 

2005.3

いま世界で少女たち・女たちは──

  性を語る会代表  北沢杏子

 
         
 

   HIV/エイズが猛威をふるい始めてから20年余りになります。その間、世界で2,000万人以上が死亡。現在の患者/感染者は、約4,000万人で、年間500万人ずつ増えています。

 アフリカ大陸の特に南部アフリカ諸国の中には、10代、20代のエイズによる死亡者が年間数十万人も出ている国もあり、平均寿命は45歳と短くなっているそうです。

 10年におよぶ内戦に見舞われたシエラレオネは、混乱の中でレイプや性被害が放置され、両親や家族を失った何千人もの女の子や女性が生き延びるために性産業に従事し、HIV/エイズ蔓延の温床ともなっています。

 また、教育がゆき渡らないため迷信がはびこり、呪術師が特別な道具で性器の周りをこすれば感染しないと信じられたり、エイズは魔女や魔術師の呪いで感染するとして、若者たちが魔女や魔術師と噂される人々を殺害する事件も起きています。

 最も悲劇的な迷信は「HIVに感染したら処女と性交すれば治る」というもので感染した男たちが少女や女のあかちゃんまでレイプ。

 その結果、親族間のレイプが急増。家庭はもはや安全な場処ではなく、叔父やいとこがいきなり親戚の女児をレイプするケースが多数報告されています(ナイジェリア通信)。

   一方喜ばしい情報もあります。国連人口基金(UNFPA)開発教育によってウガンダ・サビニ族の「女性性器切除」の悪習は大幅に減少。その方法として、長年信じられてきた慣習をやめさせるには、頭ごなしに批判・弾劾するのではなく、その地域の文化的尊厳を認めつつ、長老と協力して代替儀式を考案し実践していったからだそうです(どんな代替儀式が知りたいものですね!)。

  それにしても、途上国の子どもたち、特に女の子は学校に行かせてもらえず、家事や賃金、労働にと酷使されています。読み書きができなければHIV/エイズの予防はもとより、迷信に翻弄されても、拒否するすべもなく不本意な人生を送らなければなりません。

  貧困、人口増加、環境破壊、HIV/エイズ、人身売買、妊産婦・乳幼児の高死亡率……山積する地球上の諸問題を解決するには、戦争・紛争の即刻停止と徹底的な学校教育の普及だと声を大にして叫びたいと思います。

 
 

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