第23回 私と性教育──なぜ?に答える 2006.1 |
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爆笑!禁煙教育のロールプレイ 性を語る会代表 北沢杏子 |
カナダのタバコの警告表示は大きい。 |
K県M区内中学13校の保健委員を集めての『禁煙教育講演会』(M区役所保健福祉センター主催)の講師を頼まれました。その企画がなかなかユニークなので紹介します。私の短い講演の後、生徒たちにロールプレイを演じさせる。そして各校に戻って全校生徒の前で、生徒が生徒に教えるピア・エデュケーションに繋げるというものです。 私とアーニ出版のスタッフは早速、さまざまな教材を作って、会場に駆けつけました。1校6人ずつの保健委員と担当の先生、保健師さんや保健福祉センター職員の方たち100人が詰めかけています。 あらかじめ届けられた生徒たちからの質問に、「一度吸うとなかなかやめられなくなるのはなぜか?」というのがあったので、タバコの中のニコチンが依存症を形成することを解説。センターの課長さんが喫煙者だそうなので、「(吸えば)ニコニコ、(タバコが切れたら)イライラ…ニコニコ…イライラ」と、場面がパタパタ変わるパネル教材を舞台の上で実演してもらいました。私たちは中学生に、依存症を実体験してわかってもらうための「(携帯を持っていれば)ニコニコ、(家に忘れてきたら)イライラ…ニコニコ…イライラ」のパネルも持参。これを課長さんと中学生が調子を合わせて演じると、会場はたちまちワッと盛り上がりました。 次に、各校ごとに13のグループに分かれて、「どんなロールプレイにするか」の打合わせを20分。私は各テーブルを廻って助言を与えます。中学生の発想って面白いですね。 第1話──先ほどの課長さんが父親役、畳に寝転がってタバコをスパスパ。飲みかけの缶ジュースの缶に吸殻をポイポイ捨てたかと思うと、高いびきで眠ってしまいます。そこへ赤ちゃんに扮した中学生男子が這い這いをしてきて、缶ジュースをゴクリ! バタンと倒れます。乳幼児の誤飲はタバコが最も多いのです。「大へん、大へん! 救急車、救急車!」を叫ぶ母親役。お医者さん役が、ひときわ大きな声で「胃洗浄!点滴用意」と赤ちゃんを介護します。ぐったりした赤ちゃんの前で、父親役は平謝り。すると突然、赤ちゃん役が飛び起きて、「わかったか、オヤジ!」で、爆笑のうちに幕。 第2話──5人の子持ちのお母さん。父親がヘビースモーカーなので、「家計が苦しい」と財布を逆さにすると1円玉がチャリン、チャリン。サッカー部の長男はタバコの副流煙で「心臓がグルジ〜イ!」。長女は副流煙で歯周炎に。次男はぜんそく、幼稚園児は肺炎…「タバコやめないなら、リコン!」と、赤ちゃんが叫び、またまた爆笑のうちに幕。 第3話──アーニ出版の“赤ちゃんが生まれるお母さん人形”を手に、男子2人が登場しました。ここは産婦人科医院の入院室。お産が間近に迫っている二人(妊婦を男子が演じるところが奇想天外ですね)。男子A(裏声で)「わたし、愛子。あなたは?」男子B「まゆみよ、よろしく」 A「こちらこそ、よろしく。ところで、あなた、そんなにタバコ吸って、おなかの赤ちゃんによくないんじゃないこと?」B「あーら平気よ。ぜーんぜん平気」 A「じゃあ、お互いに元気な赤ちゃんを生みましょうね」 B「ええ、生みましょう」…と言っているうちに産気づいて、二人とも出産。助産師さん役の女子が、それぞれの新生児を取り上げると…喫煙母さんのベビーは、軽体重児で保育器へ。ジャン!「タバコを吸うお母さんは、児童虐待でーす!」と、女子中学生が説教して幕。 みなさんもこんな愉快なロールプレイつき禁煙教育を実践してみませんか? |