北沢杏子のWeb連載
第45回 私と性教育――なぜ?に答える 2007年11月 |
思春期の子どもをもつパパの心得 その1
■二次性徴とは?
幼かった子どもが成長して思春期を迎える頃になると、パパにとって、女の子はまぶしい存在となり、男の子は自分のその頃のことを思い出す存在になるでしょう。では、そうした性的成長期の子どもに、どう対応すればいいのか?今回は、わが子の初経※1、または精通※2についてのパパの心構えと対応”のお話です。
オギャー!産室に元気な産声が響き渡ると、「オメデトウ、男の子ですよ、女の子ですよ」と助産師さんがママとパパに告げます。新生児のどこを見て言うと思いますか?そう、性器ですね。これを“一次性徴(第一番目の性の特徴)”と呼んでいます。
では、“二次性徴(二番目の性の特徴)”とは?――その子どもが10歳から13歳頃に現われてくる性の特徴。急激に身長が伸び、体重が増え、女の子は乳房がふくらんできて腰まわりが発達し、ふっくらした体つきに、男の子はのど仏が出てきて声変わりが始まり、がっしりした体つきになってきます。ついで、女の子は初経が、男の子は精通が始まります。これが二次性徴と呼ばれている性的成長発現期――思春期です。ふつう女の子の方が男の子より2年ほど早く現われます。
■学校の授業ではわかりにくい!
女の子は小4になると学校で初経教育※3が行なわれます。「ちつから血が出てくるようになりますよ」などと養護教諭から説明され、月経のあった日をメモするカレンダー※4や手当てのためのナプキン、それを入れる小さなポシェットなどが手渡されるのがふつうです。
想像してもごらんなさい。女の子にとって、どんなにショックか!ちつなんて、どこにあるのかも知らないし、血が出る(それも毎月)なんて、考えただけでも心配。泣きべそをかいて帰ってきます。
ママは大先輩ですから「平気よ、女はみんな月経があるんだから。しかもそれが40年間も続くんだからねッ」と無神経にあしらってしまいがち。月経が始まると早速、豪華なケーキやお赤飯で食事を飾ったりします。
それを見たパパが「ほう、おまえも女になったか?オメデトウ」などと言うと、女の子は傷つきます。なぜって、生まれたときから女性だったのですから。つまり、パパの言う「女になった」というニュアンスが、性的な対象――「SEXできる女になった」ときこえたから恥かしかった、不快だったと、女の子からの訴えを、よくきかされます。わが子の成長を喜ぶなら、言葉を選ばなければなりません。この時期の女の子のデリケートな気持ちを理解し、何気なく小さなプレゼントを枕元に置いておくくらいの心遣いが必要でしょう。
■単身家庭でのパパの心得
とくに父親と娘だけの単身家庭では、女の子が初経を迎えて生理用品を買わなければならなくなったとき、お小遣いにその費用を加えなければなりません。でも、女の子は父親に言い出しにくいし、父親も「もう、なったのか?」とも訊けないでしょう。
そんなときは、学校の養護教諭に(担任が女性の場合は担任に)相談するといいでしょう。ある女の子は自分で養護教諭に話し、養護教諭から父親に告げてもらったそうです。すると父親は「ぼくも心配して、実は月経についての専門書を読んでいたんですよ」と答えた。それを聞いた女の子は、父親に感謝し、これからは「ボーイフレンドができたときなんかも気軽に話せるな」と喜んだということですよ。
※1 初経:初めての月経。以前は初潮と呼んでいましたが、教科書でもいまは初経。
※2 精通:初めての射精。
※3 初経教育:主に女子だけを対象に養護教諭が行ないます。ほんとうは男女共修とし、女の子は、月経時には水泳(プール)の時間には“見学”することが多いが、男の子は、からかったりしないよう注意する――これが男女共修のよいところ(思いやり)です。
※4 性周期カレンダー:月経が始まった日から数えて、次の月経は28〜30日目くらいにくるのがふつうで、これを28日型、30日型と呼んでいます。初経から2〜3年で、正確な周期になるでしょう。
参考資料