北沢杏子のWeb連載
第46回 私と性教育――なぜ?に答える 2007年12月 |
思春期の子どもをもつパパの心得 その2
「子どものことはママ任せ」のお父さんに、わが子が思春期にさしかかったとき――女の子に初経(初めての月経)が起こり、男の子は精通(初めての射精)を体験したとき――どう対応すべきかを先月は書きました。今回はその続きです。
初経については女子は小4で、男子はふつう小5の「保健」の授業で、(男女共修で)教えられます。例えば、「二次性徴発現期になると、脳の下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌され、女子は卵巣に、男子は精巣に働きかけて、女性ホルモンや男性ホルモンが、体中に送られるようになる」「そのホルモンの作用で乳房、のど仏、びげ、ニキビ、わき毛、性毛などの性的特徴が現われると同時に、女子には排卵と月経、男子には精子の産生と射精が始まるようになる」これでオワリです。男の子はキョトンとして、何が何やらわかりません。
ですから、いよいよパパの出番です。それ以前にも、男の子と一緒にお風呂に入るたびに、「皮(包皮)をめくってよく洗う」ことを教えましょう。そして、二次性徴発現期になったら、ご自分の初めての射精や夢精があったときの話を、何気なく話しておくとよいでしょう。
男の子の初めての射精は「夢精」の場合が多いようです。男の子は朝、目を覚まして「しまった!寝小便か」と慌てるかもしれません。でもそれは“チビッタかな”程度で、濡れ方も大量ではないので心配はいらないこと。濡れた下着は、ちょっと水洗いしてから洗濯機に入れておくのがエチケットだよ、と話すといいでしょう。夢精以外には、なんとなくペニス(教科書では陰茎)を触っているうちに射精してびっくり!という男の子もいます。
ところで、母親と男の子だけの単身家庭では、ママはおろおろするばかり。そんなときは『男の子のからだの絵本』などを一緒に読んだり、その子の机の上にさり気なく置いておくとよいでしょう。そんな場合、性や性欲、セックスを強調したマンガ(有害コミック)は正しい情報ではないことも伝えておきましょう。
性欲について訊かれたら、「射精に快感が伴うのは“種の保存”から言って当然のこと。快感がなければ、哺乳動物の交尾も人間の性交も行なわれないでしょうからね」と、さらりと答えておくとよいでしょう。
射精による快感を知った男の子は、やがてマスターベーションを始めますが、これは思春期の男の子に当然起こってくる性欲を自分でコントロールする「性の自己管理」として、むしろよい方法と言えましょう。ただし、『清潔な手で。プライベートな場所で』を守ることを忠告しておきたいものです。
思春期を迎えた女の子や男の子へのパパの受けとめ方、話し方、それぞれの成長への父親らしい喜びの声かけ――わかりましたか?
参考資料